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2021-09-29

糖度25度の無農薬いちご栽培

兵庫県猪名川町

私が加地農園に行った時、噴霧器に農薬が希釈されて置かれていた。

油虫が発生したからである。しばらくたって、また用事で訪れたが、噴霧器の農薬は散布されずに、放置されていた。どうして散布しないか尋ねると、「食べる人のことを思うと躊躇して散布できない」とおっしゃってられた。とうとう、イチゴ全体にアブラムシが蔓延してしまいイチゴは全滅してしまいました。

そこから、私たちのイチゴ無農薬有機栽培の取り組みが始まりました。

当時も「ス-パ-ネイチャ-」という魚粉主体の発酵肥料を施用してイチゴ栽培が栽培されていました。成績は悪くなかったが、天候が悪い日が続くと、うどん粉病が発生していました。

その頃、私は「おひさま凝縮粉末」という海藻を発酵させた肥料を研究開発しており、加地農園で試験研究していた。トマトなどの硝酸値が半減し、糖度も上がり、味の濃いおいしいトマトが生産できました。

イチゴにも使ってもらったが、使うようになってから天候が悪くてもうどん粉病が発生することが、以後全くなくなりました。窒素と炭素のバランスが取れ、病気(うどん粉病)の原因の窒素過多がなくなったためと思っています。残る問題点はアブラムシで、加地さんはハウスに掃除機を持ち込み、アブラムシを掃除機で吸っていたのを覚えています。

しばらくして、「彩葉コ-ト」という植物油でできた対策資材ができました。2000倍で希釈して油虫に噴霧しました。完全に無農薬有機栽培が完成いたしました。

加地農園と私はニ人三脚でイチゴ作りに取り組んできましたが、最初は普通のイチゴの食味でしたが、12度、15度と年を重ねる毎に糖度が向上していき、最終的には糖度25度のイチゴが収穫できるまでになりました。加地さんは何もしていない、普通にそうなったと言われます。私は、畑に悪い物も蓄積されていくが、良い物も蓄積されていくことをこの出来事で知りました。

加地さんは私どもの拘りの有機質肥料を長年使用してきており、その肥料の良い成分が土に蓄積された結果ではないかと思っています。有機質肥料は施用されて、植物にすぐに吸収される部分がありますが、土に残っていくものもあります。土で微生物や小動物などに吸収分解されていきます。

炭素や窒素など微生物に取り込まれながら腐熟されながら地力(地力窒素、地力炭素)が出来上がっていきます。

有機栽培を推奨している専門家たちで、有機栽培の指標を作ろうと有機栽培で病害虫が少なく、品質の高い農作物が安定生産できている全国の圃場の土を川田研究所に分析していただいています。その結果、全炭素/全窒素比(CN比)は10程度で思ったより炭素が少ない印象でした。

炭素の確保の為に堆肥を多量投入する必要はないと知りました。また、可給態窒素(地力窒素)の平均は1.5%しかなく、目標値の5mg/100g以上にするには窒素全量で300、全炭素で3000(mg/100g)以上を目標にすべきであることがわかりました。加地農園では良い肥料を適量使用することによって、品質の高いイチゴがつくれる土づくりが出来ていった物と思います。

施肥設計 10a当たり

<土壌改良> ヒューマスエナジィ200~300kg  ミネラルエナジィ60kg

<元 肥> スーパーネイチャー200kg  おひさま凝縮粉末120kg 食味向上

<抵 抗 力>ニームケーキパウダー60kg

<追 肥> 農産発酵こつぶっこ60kg 生育に応じて。 ミネラルエナジイ30kg 生育に応じて。

『イチゴはそのまま食べるので、農薬を使わず、有機栽培 にこだわっている。微生物技術など様々な対策で「炭素病」には問題なく、ヨトウ虫や油虫に困っていたが何とか解決 できた。「うどん粉病」は手を抜くと発生し、出てしまうと止られない。太陽熱消毒をしっかりすることが肝心。「おひさま凝縮粉末」を使用してからは、うどん粉病は 発生していない。未消化窒素を消化すれば、うどん粉病も抑えられている。 「ヒューマスエナジー」「スーパーネイチャー」にエネル ギーを感じており、良いように思う。「おひさま凝縮粉末」 は追肥にも併用し、旨味向上や肥大に役立っている。 毎年勉強だが、食味のおいしいイチゴが農薬に頼らなく もできており、自分なりに自信がついてきた。』と加地さんはおっしゃっていました。

加地さんは高齢となり、気候変動で猪名川町も氷点下を大きく下回る年が続き、イチゴが凍ったりしてきました。ビニ-ルを2重にしたり、スト-ブを入れたりしてきましたが、イチゴの凍結には対処出来なく、高齢なので大がかりな設備することもかなわなく、いまはイチゴ栽培を終了されています。糖度25度のイチゴが食べられないことを、とても残念に思っています。

(彩葉コ-トは虫の気口に入り込み呼吸を困難にします。効果はありますが、植物も気孔で息をしており、植物も当たる可能性があります。濃度を守って注意しながら使用しなければなりません。イチゴ苗を定埴前に2000倍希釈液にどぶ付けして定植されていました。)

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