石灰防御とは?
「石灰防除」という言葉はご存知でしょうか?鳥インフルエンザ発生時に石灰を散布しているように、石灰には殺菌力があります。その石灰の殺菌力の利用やカルシウムの吸収を図り、農作物の体質改善をはかり病害虫に対抗していく手段です。病気の原因はカルシウム欠乏との複合要因のケ-スが多くあります。
有機石灰は1000℃など高温で焼成すればその機能性が高まり、強アルカリ性( pH12.8~13.2)の抗菌力の機能が備わります。有害な細菌を短時間に殺菌・除菌することができ、細菌の増殖を抑制する抗菌力も持ちあわせています。野菜洗浄での農薬除去、鮮度保持、抗菌、除菌(大腸菌、レジオネラ菌、サルモネラ菌、O-157、黄色ぶどう球菌等悪玉菌)、消臭効果(腐敗臭、アンモニア、ホルムアルデヒド臭等)、防虫、土壌改良・水質改良に応用されており、次世代の環境改善材と期待されています。しかも食品に利用されるなど安全性は高い物です。
高温焼成有機カルシウムを葉や問題箇所に粉状噴霧や水に1.0%~2%程度溶解させ、強アルカリ性水溶液を作り、株元に200cc程度の流し込みや、上澄液を活用する手段で問題点を解決している事例が多くあります。
カルシウム欠乏と関係する病害
下記の通り、カルシウムが起因して発病している病害を示しました。強アルカリ性水溶液などで対処ください。
キュウリ(うどん粉病/生長点の異常/つる割れ病/灰)
色カビ病(「ピンポイントがけ」死んだ組織(花)が引っ付いた枝の分かれ目に施用)/疫病(接ぎ木部分に施用)/褐斑病/灰色カビ病/ベト病/ホモプシス)、ピ-マン(尻ぐされ病/立ち枯れ病/白絹病)、白菜(芯ぐされ病/根こぶ病/乾腐病「良く効く」)、カリフラワ-(展開葉の障害/チップバ-ン)、ストック(菌核病)、水稲(いもち病「粉状噴霧・7月中旬・8月中下旬・夕方・無風の時」/カメムシ/「出穂10日前に施用」)、イチゴ(うどん粉病/イオウ病/炭そ病「粉噴霧・育苗利用」)、お茶(たんそ病)
みかん(着色)、アスパラ(立枯病/株腐敗病)、イチヂク(ダニ「葉面散布」/腐り)、コスモス(炭そ病/乾腐病)、
トマト(青枯れ病「200cc株あたり流込み」/斑点病/灰色カビ病/葉かび病/白絹病/尻腐れ病/黄化葉巻き病/萎凋病)、大豆(茎疫病/大豆/青立ち「葉面散布・転流効果・肥大効果」)、ストック(石灰追肥「発蕾期 50kg/10a」/菌核病)、リンドウ(灰色カビ「溶液追肥」)、ブロッコリ-(花蕾腐敗病「葉面散布」)、牛蒡(萎凋病)、ラベンタ-(生育改善)
うどん粉病(かぼちゃ/スイカ/なす)、乾腐病(キャベツ/ブロッコリ-/大根)、害虫(蛾・ネキリムシ・アブラムシ・ヨトウ・ムカデ・ナメクジなど)、モグラには強アルカリ性カルシウム+硫安(尿素)がよい。
※注意点
- 農薬散布直後に水溶液を散布すると障害が出る可能性があります。
- 酸性資材との混用は避けてください。
- 葉面散布は夕方が望ましい。
- 粉末の噴霧は障害がない。
- 果菜類・果実ができるまでは粉散布が楽ですが果実が出来てからは白く汚れる為、上澄液がよい。
参照:農文協「農家が教える石灰で防ぐ病気と害虫」